石黒洋菓子研究所のオリジナル刺繍袋の製作をお願いしているプラハ在住の刺繍作家さんを訪ねた夏旅
プラハを拠点に、ドイツ ドレスデンへと向かいました。
ドレスデンは、エルベ川のフィレンツェと称される美しい街です。
ドイツを代表するお菓子「シュトレン」の本場であり、「バウムクーヘン」の製法と味を守りながらドイツ菓子文化を伝え続けている老舗菓子店の本店がある街です。
本格的にフランス菓子を勉強する前に、ドイツパンとお菓子を習っていたことがあります。
夏にはさくらんぼ、秋にはりんごなど、季節に合わせた素材を使ったものが多く、素朴な味わいで、何度でも食べたくなるお菓子ばかりでした。
フランクフルトの銘菓であるフランクフルタークランツや、「黒い森のさくらんぼケーキ」というシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテなど、地域を象徴するお菓子があるのも特徴です。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテは、フランス菓子のフォレノワールの原型ともいわれています。
老舗菓子店のカフェでは、フランス菓子に通じる、伝統的なドイツ菓子を味わいました。
世界一美しい乳製品の店と称される店舗に併設されたカフェでは、冷たいアイスクリームに、温かいさくらんぼのソースを掛けて食べる一品をいただきました。
ドレスデンで出会ったお菓子は、素材へのこだわりを感じるものばかりでした。
ドレスデンは、教会や宮殿、美術館など、歴史的な建築物が多く立ち並んでいますが、アウグスト通り沿いにある壁画「君主の行列」が特に印象的でした。
歴代35人のザクセン君主が、ヨーロッパで初めて、硬質磁器を生みだしたドイツの名窯「マイセン」磁器のタイルを、2万枚以上使って、描かれています。
第二次世界大戦で戦火に見舞われ、街の大半が焼け落ちましたが、この壁画は奇跡的に残った貴重な作品だそうです。
お菓子にも街並みにも、地域のよき伝統を大切に受け継いでいこうとする意思を感じました。
夏旅は、フランス パリへと続きます。


